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広島・野村祐輔 チーム最年長投手が挑む勝負の夏/甲子園のヒーローは今

 

気持ちを切らさず、野村は自分の仕事を全うする


 丁寧にホームベースの四隅を突く投球術は、豊富な経験と熟練の技があるからこそだ。今季初登板となった6月29日のDeNA戦(マツダ広島)で白星こそつかめなかった野村祐輔だが、6回無失点と好投。7月28日の阪神戦(甲子園)の初回に失点するまで、17イニング連続無失点。5度の先発を終えた時点で1勝1敗、防御率0.35という安定感抜群の投球を繰り広げる。

 広陵高のエースとして夏の甲子園を沸かせたのは、16年前の2007年。1回戦、前年まで3年連続決勝進出していた駒大苫小牧高(南北海道)を逆転で破り、そのまま準優勝。決勝の佐賀北高戦は4対0で迎えた8回、最後は逆転満塁本塁打を浴びて涙をのんだ姿は、多くの野球ファンの記憶に残る。今年、母校は5年ぶり24度目の出場を決めた。「僕も負けないように頑張りたい」と、後輩たちを刺激に夏場の先発ローテーションを支えている。

 一昨年はプロ初の未勝利に終わり、昨季も2勝3敗、防御率5.23と精彩を欠いた。今季も中盤戦まで二軍生活。新井貴浩監督は「この時期まで一軍登板がないというのは初めての経験だったと思う。その中で気持ちを切らさず、やるべきことをやってくれていた」と、現役時代をともにした右腕の頼もしい姿に目尻を下げる。

 気づけば、チーム投手陣では最年長の34歳になった。「周りからは“おじさん”って言われているけど、若いと思ってやっていますよ」と、まだ老け込む年齢ではない。16〜18年のリーグ3連覇を知る数少ない一人。優勝争いが佳境になればなるほど、ベテランの力は必要だ。

写真=BBM
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