生き残りをかける勝負の秋に、バットで勝利に導けるか。山口航輝が強い覚悟で最終盤に望んでいる。CS進出圏内確保が最優先。波に乗れないチームを勢い付ける一打が求められる。
夏場は苦しんだ。8月は月間打率.242。厳しい内角攻めに遭い、見逃し三振で呆然と立ち尽くす姿もあった。吉井監督が「違う刺激を」との意図で二番を任せたことや、「楽なところで」と八番を打たせたことも。そんな首脳陣の思いに奮起。
「出してもらっている立場。何とかしたいと毎日思っている」
8月29日の
日本ハム戦(ZOZOマリン)では、秋田・明桜高時代に県内で甲子園出場を競った金足農高出身の
吉田輝星からプロで初めての本塁打。
「言葉で表すのは難しいかもしれないですけど、違うスイッチは入った。あまり意識はせず、何とかできたことにちょっとほっとした」
10号到達から遠ざかった快音も、ライバルからの一打を含めて3カード連続でアーチを架け、一時期の不振は脱した。
「一番はやっぱりメンタル。なかなか切り替えるのは難しいですし、毎日起きるのが怖い」と吐露する。野球をする夢を見ることもあるといい、起きると結果がついてこない現状に落胆することもあった。責任感が人一倍強い23歳だからこそ、久々の一発を放っても、「こんな成績で本当にチームにもファンの人にも申し訳ない」。何とかしようと、もがいている。
「チーム一丸となって、まだまだ上を目指せる」
言葉通り、最後まであきらめずに戦う。
写真=湯浅芳昭