新時代の巨人投手陣を引っ張る1人が山崎伊織だ。今季は9月21日時点で9勝4敗、防御率3.00。「シーズンの最初に出遅れてしまった分、最後までローテーションで投げるのが今年の目標」とシーズン最終盤を迎え、気合を入れ直している。
原辰徳監督が「あまり小細工に走らずに力投できる、汗を流せる。成長した投手だと思う」と目を細める24歳だ。
春季キャンプ第1クールで故障離脱したものの、4月19日の
DeNA戦(佐賀)で今季初登板勝利を飾ると、以降は若きエースの
戸郷翔征とともに先発ローテを引っ張った。7月は4戦4勝、防御率1.91で自身初の月間MVPを受賞するなど、先発陣の柱と呼べる存在に。「投げているボールは、去年より全然いいと思っています。(要因は)気持ちの面というよりはコンディションの部分」と自己分析する。
東海大時代にトミー・ジョン手術を受けた影響で、プロ1年目はリハビリに専念。2年目の昨季は5勝を挙げたが、1試合の球数は100球未満をメドとしながら、定期的に登板間隔を空けるなど、右肘の負担を軽減するための制限があった。今季はそれらをなくし、“本格”デビュー。故障前から高く評価されていた能力を証明している。
9月12日の
阪神戦(甲子園)では、8回3安打1失点、8奪三振でプロ初完投したものの、打線の援護がなく4敗目。20日の同戦でも6回2失点で勝ち投手の権利を手にしながら、チームは逆転負けを喫して2ケタ勝利を前に5度目の足踏みとなった。「残りの登板を全部勝ちたい」。一流投手の仲間入りを証明するためにも、節目の白星をつかみにいく。
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