一塁ベース上で堂々と右手を突き上げた。9月25日の
日本ハム戦(エスコンF)。1対1の同点で迎えた9回表、一死満塁。
炭谷銀仁朗の代打で登場した銀次が、
伊藤大海の投じた2球目、141キロのフォークを左前へ運んだ。
今季初安打が決勝打になった。9対1の大勝に貢献し「ヒットを打つことだけを考えていました。ああいう場面で出してくれた監督にすごく感謝しています」と喜び爆発させた。
経験豊富でミート力もチーム随一。だが、好結果をもたらしたのは「気持ち」だったという。初球の内角カットボールは見逃した。
「1球目がめちゃくちゃいいボールだったので、これは結構きついかなと思った。でも、ここは形じゃない。次のボールは思い切って振りました」と手応えをにじませた。
石井一久監督は「本当に彼らしいヒットを打ってくれた」と笑顔でたたえた。
20代後半から、すでに30代後半で活躍することを見据えてさまざまなトレーニングを積み重ねてきた。だが、プロ18年目の今季はキャンプから二軍暮らしが続いた。
悔しくないはずがない。それでも二軍では「一日を無駄にしないようにやっていこうぜ」と時には若手を鼓舞しながら前向きに汗を流した。二軍では87試合に出場し打率.275。9月22日、ようやく今季初昇格を果たした。
昨年までに通算1238安打のバットマン。「野球は本当に何があるか分からない。最後の最後まで戦えることが大事」と気持ちを高ぶらせた。復活を印象づけたバットマンは、これからも安打を積み重ねていく。
写真=BBM