どん底にいた長い時間を経ても、実力はさびついていなかった。FA移籍して3年目。35歳の梶谷隆幸が本来の姿で戻ってきた。
開幕2戦目だった4月1日の
中日戦(東京ドーム)では一番・左翼で2年ぶりにスタメン出場。2安打を放って2対0の勝利に貢献した。「長かったな……。つらいのもありましたし。ファンの皆さんの前で野球ができることがうれしいです」と、久びさに受けた試合後取材で感慨深げに喜びを語った。
苦しみ抜いた2年間だった。2020年12月にFA権を行使して
DeNAから推定4年8億円という大型契約で加入したが、21年10月には腰椎椎間板ヘルニアの手術を受け、復帰を目指していた昨年5月には左膝内側半月板縫合手術。同年は1試合も出場することができず、今季は育成契約からの再出発だった。
「獲っていただいたチームに、申し訳ない」
悔しい思いを胸にリハビリへ打ち込み、開幕前に支配下に復帰。主に一番打者、左の代打として打線を支える存在となり、6月15日の
西武戦(東京ドーム)では、延長10回に自身5度目、移籍後初のサヨナラ打を放つなど、存在感を見せてきた。「ファンの皆さんになかなか活躍を見せられていないので、何とか挽回して、認めてもらえるように頑張りたい」。
よみがえったベテランへ、G党は温かい拍手を送っていた。
写真=BBM