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広島・大道温貴 つかんだ今のポジションから、もっと/飛躍のシーズン

 

複数失点は一度だけ。大道は自らの手でポジションをつかんだ


 うなりをあげるような150キロ超の速球は、甘いマスクに似つかわしくないほどの力強さだ。大道温貴は3年目のシーズン、開幕こそ二軍スタートも、リリーフで48試合に登板。1年目の24試合、昨季はわずか3試合に終わった右腕が今季、確かな成長の爪痕を残した。

 シーズン最終戦の10月1日の阪神戦(マツダ広島)、0対0の3回無死一、二塁で名前がコールされた。立ち上がりから状態が上がらない先発・大瀬良大地からのバトン。佐藤輝明の詰まった打球が適時打となったものの、最少失点で切り抜けた。8月から9月にかけて14試合連続で無失点を続けたこともある。一時7.88まで跳ね上がった防御率は最後、2.72という立派な数字でレギュラーシーズンを締めくくった。

 4月下旬に一軍昇格後、当初は敗戦処理だった。だが、気づけば試合序盤から中盤にかけての“勝負どころ”を任されるように。右腕自身がターニングポイントに挙げたのは、1イニング6失点と打ち込まれた5月18日のDeNA戦(横浜)だ。「全部詰まった当たりが重なっての6失点だった。相手と勝負できているなという感覚があった」。結果からは見えない手応えをつかみ、それ以降、複数失点は一度もなかった。

 今季は最速を3キロ更新する154キロもマークした。新井貴浩監督は「球も強いし、気持ちも強いから、しっかりと腕が振れる。イニング途中からでも、相手の流れを止めてくれる。今のポジションは彼がつかんだもの」と、成長に目尻を下げる。「来年はもっとやりたい。もうすでに、その気持ちが強い」。来年は、今年以上の飛躍をつかみ取る。

写真=BBM
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