ようやく大器の片りんを見せつけるシーズンを過ごした。2018年に全米のドラフト1巡目(全体8位)指名を受けたカーター・スチュワート・ジュニアが交流戦から先発ローテーション入り。10月7日の
楽天戦(楽天モバイル)ではCS進出をかけた大一番を託された。好投を続けていたが6回、
辰己涼介に痛恨の同点3ランを浴び、チームは延長12回の末に引き分け。CS出場権はつかむも、「何とかチームが勝てるように自分ができることをしようと思った。申し訳ない」と反省した。
19年途中に来日し、6年契約の5年目。入団当初、わずか1キロ走っただけで足が止まるほど体力がなかった右腕もたくましくなった。6月18日の
阪神戦(甲子園)で今季初登板。両親も見守る中、6回途中無失点の好投も白星がつかめず、その後の3試合で2敗。力強い速球で押し込むが、走者を背負うと足でかき回された。何とか克服しようと、クイックモーションの練習などを繰り返した。
ようやく報われたのが、7月26日の
オリックス戦(京セラドーム)だ。6回1失点で勝利投手。通算16試合目でプロ初勝利をつかんだ。「日本での日々は平らな道ではなかったけど、努力さえ怠らなければ必ずこういう日が来る。それを証明できたね」と笑顔が広がった。
ポストシーズンでも奮闘が期待され、CSファーストステージ第1戦の先発を任された。
斉藤和巳投手コーチは「初めてのことを経験するだけでも成長。結果がどうであれ、来年以降も含めて彼の野球人生に活かしてほしい」と話した。「金の卵」がグングンと成長した1年だった。
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