週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

楽天・田中和基 チーム屈指の守備力/これぞプロの技

 


 7月4日のオリックス戦(東京ドーム)。2点を追う5回だった。先頭のゴンザレスが放った大きな飛球が右中間を襲った。中堅で先発した田中和基は、センター定位置から勢いよく走り出した。

 半身になって素早く打球の落下点に入ると、最後は高々とジャンプ。ボールは吸い込まれるようにグラブに収まった。フェンスに激突しながらの超美技で先頭打者の出塁を防いだ。

 2018年には新人王を獲得したスピードスター。その守備範囲の広さは、高い身体能力だけがもたらしているのではない。バッテリーの配球や相手打者の傾向などを総合的に判断し、あらかじめ打球が飛ぶ方向を想定してスタートを切っているという。鮮やかな一連の動きの裏には、徹底した準備がある。

 19年に左手首を骨折するなど、この数年はケガにも悩まされてきた。外野陣はハイレベルな定位置争いを繰り広げており、22年シーズンは77試合出場にとどまった。

「結果が出ないことより、試合に出られないことのほうが悔しい」と並々ならぬ決意で挑んだ今季だったが、95試合出場で打率.088に終わった。バッティングでは試行錯誤を繰り返しているが、思ったような結果は残せなかった。

 小郷裕哉が台頭し、来季はさらに外野のレギュラー争いが激化することが予想される。ただ、田中和の守備力はチームトップレベル。チームに欠かせない戦力であることは間違いない。来季こそ定位置を取り戻し、ファインプレーを何度も披露してみせる。

写真=BBM
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング