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中日・後藤駿太 いぶし銀の働き/これぞプロの技

 


 爆肩の守備職人が、ここぞの場面でビッグプレーをみせた。7月5日の巨人戦(バンテリン)。途中出場した後藤が魅せた。

 5対5の9回、二死二塁。岡本和真の左前打にチャージ。二走の俊足・重信慎之介は迷わず本塁へ突入し、頭から飛び込んだ。背番号53は矢のようなピンポイントのノーバウンド送球(写真)。勝ち越しを阻止した。

 無失点を続けていた絶対守護神、マルティネスの防御率0.00を守るワンプレー。原辰徳監督のリクエストでリプレイ検証が行われたが、判定はそのまま。後藤は右拳を力強く握り締めた。

 哲学が詰まったノーバウンド送球だった。「バックホームで刺すなら、僕はノーバウンドが一番だと思っています。バウンドする位置に小石が落ちていて、跳ね方が不規則になるかもしれないからです。だったら、低い球のノーバウンドがベストだと僕は考えます」。グラウンドコンディションも考慮に入れた職人技は肩の強さがあってこそ。思い描くとおりの好返球だった。

 強肩は他球団も知るところ。9月25日の本拠地・阪神戦では途中出場で左翼に入る。1点リードの9回、二死二塁で代役守護神・勝野昌慶は代打・渡邉諒に左前打を許す。代走・熊谷敬宥は三塁ストップ。後藤の強肩による抑止力が働いた瞬間だった。

 その後、勝野は後続を斬ってチームは勝利。この日の先発は、右肘内側側副靱帯の再建術から復帰1勝を目指していた梅津。右腕に3年ぶり白星を届ける、いぶし銀の働きとなった。

写真=BBM
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