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ソフトバンク・石川柊太 快挙の裏で、重圧をはね返せず/区切りのシーズンを終えて

 

ノーヒットノーランを果たした石川だが、シーズン自体は苦しいものに……


 育成入団から10年目となった節目のシーズンで、石川柊太が球史に名を残す偉業を成し遂げた。8月18日の西武戦(PayPayドーム)。初回からテンポの良い投球で相手打線を手玉に取ると、得意のパワーカーブもキレ味抜群で凡打の山を築いた。9回まで8三振を奪い被安打ゼロ。NPB史上88人目(通算99度目)となる自身初のノーヒットノーランを達成した。「いろいろな運が重なった。野手の皆さんに感謝したい。一人ひとりのバッターに集中した。忘れられない瞬間」。育成出身では2019年9月6日(ロッテ戦=ヤフオクドーム)の千賀滉大(当時ソフトバンク、現メッツ)以来、2人目の快挙に笑みをはじけさせた。

 偉業こそ果たしたが、節目のシーズンは苦しんだ。22年までエースを務めた千賀がメジャーに移籍。代わる先発の軸としての期待を受け、今季初登板では7回無失点で白星を挙げた。好スタートを切ったかに思われたが、その後は奮わず、5月19日の西武戦(PayPayドーム)で3勝目を挙げて以降、登板9試合で白星なし(4敗)。「悔しさをマウンドでぶつけられればというだけ」と、約3カ月ぶりの勝利に向けて並々ならぬ気合をにじませて上がったマウンドで快挙を達成した。

 千賀の「穴」を埋めるという重圧と戦ったシーズンは4勝8敗、防御率4.15と、輝きを放つことができなかった。秋には若手中心のフェニックス・リーグでも登板。「思いっ切りしゃがんだので、あとはジャンプできるように」。節目で味わった悔しさを、必ず来季につなげる。

写真=湯浅芳昭
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