この男ならば、とファンは期待をかける。岡本和真は1億5000万円アップの年俸4億2000万円(金額は推定)で契約を更改。スピード出世を続ける27歳の持ち味は、豪快な本塁打だ。
球界屈指の“アーチスト”としての力をまず証明したのが、3月に日本が世界一に輝いたWBCだ。「すごく自分としてもいい経験になりました」と振り返った初の大舞台で全7試合に出場し、打率.333、2本塁打、7打点。イタリアとの準々決勝では3ランを含む5打点、決勝のアメリカ戦でも本塁打を放つ大活躍だった。
世界の舞台での経験をエネルギーに変え、9年目の今季は球団歴代3人目の6年連続30本塁打以上を悠々とクリアし、41本で2年ぶり3度目の本塁打王に輝いた。初めて「40」の大台に乗せたが、「もっとうれしいかと思っていた。常に上を目指しているので、キャリア最高の本数を打てたことはいいことかもしれないけど、めちゃくちゃうれしい感じはない」と、達成感に浸ることはない。では、次なるハードルとなる「50本塁打」も見えてきたのか──。
「いやいや、50本ってヤバいっす。すんごいペースで打たないといけない。大変ですね」
笑ってかわしたが、現実味は出てきただろう。「50」の大台となると球団では
王貞治、
松井秀喜しかクリアしたことがなく、右打者では前人未踏だ。その偉業に挑めるのは岡本和のほかにいない。飽くなき向上心で、来季もアーチを量産する。
写真=BBM