週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

楽天・則本昂大 たゆまぬ努力で磨き続けて/伝家の宝刀

 


 則本昂大がまだ新人だった2013年のこと。自信のある球種を問うと、スライダーと答えた。140キロ台のフォークは落差、コントロールとも素晴らしいが、やはり右腕の「伝家の宝刀」はスライダーだ。

 滋賀・八幡商高時代から使っていたが、三重中京大に進学後、チームメートに握りを聞くなどして研究を重ねた。通常の横の変化に加え高速、低速、縦の変化にカット系2種類。さらにカーブに近いスラーブなど、スライダーだけで7種類を操るまで成長した。

 基本的な横の変化の握りは、人さし指を中指の第一関節を縫い目にかけ、そろえて握る。ボールを切る感覚で投げる投手も少なくないが、則本は人さし指を中指で押し出すような感覚だという。カット系の2種類はボールを切るような感覚で投じるが、握りはほぼ同じ。手首の角度や使い方などを変えることで、7種類を投げ分ける。

 24年シーズンでプロ12年目を迎える。ライバル球団のスカウトはスライダーに関してもさまざまなデータを蓄積してきたはずだが、勝負球の一つであり続けている。その背景には、たゆまぬ努力がある。メジャー・リーグも含めてほかの投手の映像も研究するなど貪欲に取り組んできた。17年ごろには「スラッター」を習得。改良を加え進化を続けてきたからこそ、伝家の宝刀であり続けている。

 プロ11年で1730投球回を投じ、通算114勝をマークした右腕だが、今季は抑えに転向する予定だ。「自分なりにチームが勝てるよう、勝っている試合を最後まで締められるようにしたい」と闘志を燃やす。自慢のスライダーを武器に、新守護神として君臨する。

写真=BBM
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング