うなるような剛速球を取り戻した。大勢が復活の兆しを見せている。3月29日の
阪神との開幕戦(東京ドーム)では4対0の9回に登板し、振り逃げを含む3奪三振で阪神打線を封じ込めた。
「4点差でセーブシチュエーションじゃなかったんですけど、そこで(9回に)行く意味は、阿部さんから開幕戦に懸ける思いが伝わってきた。自分のベストを尽くしたいなって思いで投げました」
最速158キロをマークするなど150キロ台後半のストレートとフォークボールのコンビネーションで
大山悠輔、
佐藤輝明を連続三振。
前川右京は振り逃げとなったが、
坂本誠志郎を三ゴロに仕留め、完璧な投球で復活を印象づけた。
故障に苦しんだ昨季の雪辱を期して臨んだ3年目だったが、宮崎キャンプ序盤に右ふくらはぎ痛のため離脱。ファームでの再調整中に投球時の悪癖だった前傾姿勢を矯正するためにヒールアップ投法をやめた。これが直球の威力が戻る要因になり、その後は自己最速を更新する160キロをマークしている。
オープン戦では失点を喫したものの、
阿部慎之助監督とともに守護神の座を右腕に託した
杉内俊哉投手チーフコーチは、「三振もあれだけ取れるってことはいい球がいっている証拠」と信頼を口にする。
1月の自主トレでは奈良・葛城市の『二上山ふるさと公園』内の一直線に伸びる456段の階段を10往復する超過酷なメニューもこなした。すべては「最後は胴上げ投手になりたい。目標は40セーブ」という目標のため。2022年に37セーブを挙げた若き守護神がよみがえる。
写真=BBM