高めの投球をハーフスイングし、ストライクと宣告された右打者は、球審に対し、一塁審判の意見を聞くように要求しました。しかし、球審は聞き入れません。
ボールと宣告したときにはすぐ塁審に判定を任せて、ストライクに宣告が変わることもあります。ストライクと宣告されたときには、どうして塁審の意見に頼らないのでしょうか。 球審の態度は正しいものです。9月23日の
DeNA-
阪神戦(横浜)でも同じようなシーンがありました。
7回裏にDeNAの先頭打者・ブランコは、阪神の
岩田稔の1球目がストライクと判定されると、敷田球審に対し、一塁の良川塁審の意見を尋ねるように要求しましたが、球審ははねつけました。2球目の同じような投球にストライクが宣告されると、再びブランコは球審に要求しましたが、今度も拒否されました。
規則9.02の[原注2]にはこうあります。
「ハーフスイングの際、球審がストライクと宣告しなかったときだけ、監督または捕手は、振ったか否かについて、塁審のアドバイスを受けるよう球審に要請することができる。球審は、このような要請があれば、塁審にその判定を一任しなければならない。塁審は、球審からの要請があれば、ただちに裁定を下す。このようにして下された塁審の裁定は最終のものである。(以下略)」 つまり、打者がハーフスイングして球審がボールと宣告したときだけ、塁審の助言を求めることができるのです。ストライクと判定された投球について、打者から塁審の意見を求めることなど、許されません。
この規則がアメリカで誕生したとき、日本の規則委員はびっくりしました。判定にほかの審判の意見を質すなど、従来の常識では考えられなかったからです。
79年から日本でも採用されましたが、その後はハーフスイングに関してのトラブルはなくなったのですから、この規則改正は大成功だったといえるでしょう。