打者は投手が投げようとするその瞬間にタイムを要求し、打席を外しましたが、投手がまさに投げようとしているのに気づき、あわてて打席に戻りました。しかし、構え直す前に投球があり、ストライクが宣告されました。この投球は有効でしょうか。 ストライクの宣告は有効です。このときの打者は大きな誤りをしています。タイムを要求して打席を外しても、審判の宣告がなければ、タイムは有効ではないのです。
規則6.02は打者の義務を述べていますが、その(b)には
「打者は、投手がセットポジションをとるか、またはワインドアップを始めた場合には、バッタースボックスの外に出たり、打撃姿勢をやめることは許されない」とあるのです。
同規則の[原注]には
「審判員は、投手がワインドアップを始めるか、セットポジションをとったならば、打者または攻撃側チームのメンバーのいかなる要求があっても、“タイム”を宣告してはならない」とあります。
加えて、
「球審は、打者が打者席に入ってからでも、“タイム”を要求することを許してもよいが、理由なくして打者席を離れることを許してはならない」と記されています。
日本では最近、打者がタイムを要求すると球審が慌てて「タイム」を宣告する場面を見かけます。今年の開幕前にメジャー・リーグのオープン戦を見て回りましたが、打者から勝手にタイムを要求することはほとんど見かけませんでした。
ここで再び6.02の[原注]を紹介すると、次のような個所が見当たります。
「(前略)球審が寛大にしなければしないほど、打者は打者席の中にいるのであり、投球されるまでそこにとどまっていなければならないことがわかるだろう」 規則に手厳しく明文化されているのです。