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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

バントを試みた際バットが折れ、転がった打球が折れたバットに当たった場合の処置は?

 

走者一塁で打者はバントを試みましたが、バットが折れてしまい、ボールと折れたバットの一部がマウンドの方へ転がっていきました。打球を処理しようと遊撃手が前進してきましたが、ボールをつかもうとしたそのとき、ボールは転がってきたバットの破片に当たりました。打者はその間に一塁を駆け抜けています。この場合、打者はアウトでしょうか、それともセーフになるのでしょうか。

 打者はセーフです。

 打者アウトを規定している規則6.05(h)にこうあります。

「打者が打つか、バントしたフェアの打球に、フェア地域内でバットが再び当たった場合。ボールデッドとなって、走者の進塁は認められない。これに反して、フェアの打球が転がってきて、打者が落としたバットにフェア地域内で触れた場合は、ボールインプレイである(以下略)」

 そして、この規則の後にある[原注]ではこう述べられています。

「バットの折れた部分がフェア地域に飛び、これに打球が当たったとき、またはバットの折れた部分が走者または野手に当たったときは、プレイはそのまま続けられ、妨害は宣告されない。打球がバットの折れた部分にファウル地域で当たったときは、ファウルボールである」

 つまり、折れたバットは打者がコントロールできないもので、折れた後は打者には責任はないということです。

 これは実際に、08年9月23日のメッツ対カブス戦で起きたプレーです。

 5回一死一塁でメッツのヨハン・サンタナ投手がバントすると、バットが折れました。マウンド近くに転がった打球を遊撃手のロニー・セデーノがつかもうとしたそのとき、ボールは飛んできた折れたバットの一部に当たり跳びはね、セデーノの前から消えてしまいました。

 サンタナには安打が記録されました。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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