一死走者二、三塁で苦手の打者が登場したので、ボールスリーになると敬遠しようとしました。そのとき、セットポジションから投球するにあたり、完全に停止することなく投げてしまいました。敬遠の場合でもボークになるでしょうか。 敬遠の場合でも、セットポジションから投球する投手は、完全停止しなければなりません。
2005年のアリゾナの大学野球の試合でこのケースが起こりました。当日の球審はボークと判定し、走者に一個の進塁を許し、打者は3ボールから打撃を続けました。
規則8.05にはボークに該当する13の例が並べられていますが、その(m)に
「投手がセットポジションから投球するに際して、完全に静止しないで投球した場合」とあります。ここに敬遠の場合は除くという例外は設けられていません。
この規則の前の(l)に
「故意四球が企図されたときに、投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した場合」も、ボークになることを示しています。捕手が立ち上がっているときは、敬遠する目的が明らかですが、その場合でも投手または捕手は、きちんと規則は守るべきであることを示しています。
8.05の[原注]には
「ボークルールの目的は、投手が走者を意図的に騙そうとするのを防ぐためであることを、審判員は心に銘記しなくてはならない。もし、審判員の判断で投手の“意図”に疑いを抱いたら、審判員は厳重に規則を適用すべきである」とあります。
セットポジションに関する規則、8.01(b)の[原注]の前段には
「走者が塁にいない場合、セットポジションをとった投手は、必ずしも完全静止をする必要がない」とありますが、同規則の[注1]には
「我が国では、本項[原注]の前段は適用しない」とあります。日本では本場アメリカよりも、厳しく規則を適用しているのです。