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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

2ストライク後、ファウルチップした打球が捕手のプロテクターに当たり、地面に触れる前にキャッチした場合は三振?

 

二死走者二、三塁です。ボールカウント3ボール2ストライクから、打者はファウルチップしましたが、ボールはダイレクトに捕手のプロテクターに当たりました。捕手はそのボールが地面に触れる前につかみましたが、これは正規の捕球とみなされ、打者アウトは成立しますか。

 これだけではアウトは成立しません。打者アウトを述べている規則6.05(b)には「第3ストライクと宣告された投球を、捕手が正規に捕球した場合」とあります。

 さらに同[原注]には、

「“正規の捕球”ということは、まだ地面に触れていないボールが、捕手のミットの中に入っているという意味である。ボールが、捕手の着衣または用具に止まった場合は、正規の捕球ではない。また、球審に触れてはね返ったボールを捕らえた場合も同様である」

 とあります。

 さらに同[原注]は続きます。

「チップしたボールが、最初に捕手の手またはミットに触れてから、身体または用具に当たってはね返ったのを、捕手が地上に落ちる前に捕球した場合、ストライクであり、第3ストライクにあたるときには、打者はアウトである。また、チップしたボールが、最初に捕手の手またはミットに当たっておれば、捕手が身体または用具に手またはミットをかぶせるように捕球することも許される」

 とあります。

 これに該当するケースはいくらでもありますが、07年4月29日のマリナーズ対ロイヤルズ戦の7回にマリナーズのウイリー・ブルームキストがカウント3ボール2ストライクの投球をファウルチップしたときには、ロイヤルズのジョン・バック捕手はボールが地面に落ちる前につかみましたが、宣告はファウルでした。

 この場合、初めにボールが捕手のミットまたは手に触れていれば、[原注]の後段にあるように、打者は三振になるわけですが、そうではありませんでした。余談になりますが、この後、ブルームキストは二塁打で二走者をかえす決勝打を放ちました。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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