先発投手は立ち上がりからコントロールが定まりません。一番打者から立て続けに3人を四球で歩かせました。無死満塁となると、監督はすぐ交代をさせましたが、ベンチに引き上げてきた投手にそのままブルペンで投球練習するように命じました。しかし、この投手がブルペンへ行くと、審判からベンチに戻るように注意されました。これはどうしてでしょうか。 これは審判が当然、行うべき注意です。ノックアウトされた投手は、再びベンチを出て練習することは許されないのです。規則3.06[原注]にはこう記されています。
「(前略)試合から退いたプレーヤーは、ベンチに入って、そのチームとともに残ることはできる。また、投手のウォームアップの相手をすることもできる。プレーヤー兼監督が控えのプレーヤーと代わって退いた場合、ベンチまたはコーチスボックスから指揮を続けることはできる」 つまり、KOされた投手に限らず、一度交代を命じられてベンチへ下がった選手は、投手のウオームアップの捕手役を務めるとき以外は、グラウンドに姿を出してボールを投じてはならないのです。
通算400勝の
金田正一投手が
ロッテの監督を務めている1978年3月14日の
中日対ロッテのオープン戦(ナゴヤ球場)のことです。ロッテで先発した実弟の
金田留広投手が2回裏に8点を奪われてKOされると、兄である監督に命じられて、もう一度ブルペンへ行き、あらためて投球練習したことがあります。しかしこれは、オープン戦だから見逃されたことで、公式戦であれば絶対にあり得ないことです。
しかし、退いた投手は再びグラウンドには出られないといっても、最近のように、ブルペンが観衆の目の届かない所にあると、この規則を厳密に適用することはできません。審判の目が届かないからです。ブルペンが必ずグラウンド内にあるメジャーの球場では起こり得ないことです。