走者一塁です。打者は遊ゴロを打ちましたが、遊撃手がゴロを処理するより前に、球審は打者アウトを宣告しました。打ったとき、打者の片足が打席の外に出ていたというのです。打者アウトを宣告する根拠はどこにあるのでしょうか。 球審がそう宣告するのでは、打者はアウトにされても仕方ありません。打者が反則行為でアウトになる規則をまとめてある6.06(a)にはこのように記されています。
「打者が片足または両足を完全にバッタースボックスの外に置いて打った場合」 そして、同[原注]には、
「本項は、打者が打者席の外に出てバットにボールを当てた(フェアかファウルかを問わない)とき、アウトを宣告されることを述べている。球審は、故意四球が企てられているとき、投球を打とうとする打者の足の位置に特に注意を払わなければならない。打者は打者席から跳び出したり、踏み出して投球を打つことは許されない」と念を押しています。「完全にバッタースボックスの外に置いて打った場合」 とありますから、片足が宙に浮いた状態の場合や片足の一部でも打席にかかっているときには、アウトにはなりません。また打席のライン上にあるときも、完全に出たことにはなりません。
本塁打で名を馳せたベーブ・ルースとハンク・アーロンは、2人ともこの規則に抵触しアウトを宣告されたことがあります。
ルースはヤンキース時代の1926年7月26日のインディアンス戦、6回二死満塁の場面で敬遠されそうになったとき、片足を打席の外に置いて打ったためです。アーロンはミルウォーキー・ブレーブス時代の65年8月18日のカージナルス戦で本塁打を打ったとき、左足を完全にボックスの外に置いて打ったためです。ルースは714本、アーロンは755本の本塁打を打っていますが、それぞれ1本ずつ損をしていました。