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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

一塁手の股間を抜けた打球が一塁走者に当たってしまった場合、走者はアウトになる?

 

一死一塁で打者は一塁ゴロを打ちましたが、ボールは一塁手の股間を抜け、後ろにいた一塁走者に当たりました。野手に触れていないフェアボールにフェア地域で走者が触れた場合は走者アウトですが、股間を抜けた打球に触れた場合も同じでしょうか。

そのとき、守備側の選手がどこにいたかによって、扱いが違ってきます。

 規則6.01(a)の(11)には「野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域で走者に触れた場合」には走者アウトとあります。

 しかしこの規則には続きがあって、(11)の(B)には「1人の内野手(投手を除く)に触れないでその股間または側方を通過したフェアボールに、すぐその後方で触れても、この打球に対して、他のいずれの内野手も守備する機会がない場合には、審判員は走者が打球に触れたという理由でアウトを宣告してはならない」としています。

 野球では往々起きることですが、2004年7月4日のメッツ対ヤンキースの交流試合でもありました。5対5の同点の8回表に一死一塁で、ヤンキースのミゲル・カイロが一塁ゴロを打ちましたが、打球はメッツのマイク・ピアザ一塁手の股間を抜け、その後ろに立っていたヤンキースの走者、ホルへ・ポサダの足に当たってしまったのです。

 このとき一塁塁審は「メッツ二塁手のタイ・ウィギントンはそばに位置していて、その後のプレーはできた」と判断して、ポサダに守備妨害でアウトを宣告しています。

 先ほどの6.01(a)(11)には続きがあって、「しかし、内野手が守備する機会を失った打球(内野手に触れたかどうかを問わない)でも、走者が故意にその打球をけったと審判員が認めれば、その走者は、妨害(インターフェア)をしたという理由でアウトの宣告を受けなければならない」とあります。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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