一死三塁でスクイズのサインが出ました。これに気づいた一塁手は、投手が投げると同時に前進し、投球を捕手が捕球するより前につかみ、三塁から走ってきた走者にタッチしました。これは許されるプレーでしょうか。 許されるどころか、守備側は大きな過失をおかしています。「スクイズプレイまたは本盗の妨害」について記した規則6.01(g)にはこうあります。
「三塁走者が、スクイズプレイまたは盗塁によって得点しようと試みた場合、捕手またはその他の野手がボールを持たないで、本塁の上またはその前方に出るか、あるいは打者または打者のバットに触れたときには、投手にボークを課して、打者はインターフェアによって一塁が与えられる。この場合はボールデッドとなる」 とあります。
「投手にボークを課して」とありますが、これは三塁走者の得点を認めるための条項です。同規則の【注1】には
「捕手がボールを持たないで本塁の上またはその前方に出るか、あるいは打者または打者のバットに触れた場合は、すべて捕手のインターフェアとなる」 とあります。また【注2】には
「すべての走者は、盗塁行為の有無に関係なく、ボークによって1個の塁が与えられる」とありますから、守備側にとっては大きなマイナスになります。
75年9月15日の
阪神対大洋[甲子園]でこんなプレーがありました。1対1の同点の12回裏に阪神の攻撃、二死三塁で、打者・
池辺巌の1球目のときです。三塁走者の
末永正昭が1球目に猛然と本塁に走ってきました。
小谷正勝投手の投球でタイミングはアウトに見えましたが、慌てた福島久晃捕手が本塁ベースの前に出てボールを受けたので、打者は打撃妨害で出塁となり、投手にボークが宣告され、阪神のサヨナラ勝ちとなりました。