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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

無死1塁で投手はセットポジション。グラブ(両手)を2、3度動かし再び静止すると、球審はボークの判定。これはなぜ?

 

無死走者一塁で、投手はセット(ポジション)に入りました。一度、両手でボールを保持し、動きを静止した後、そのグラブ(両手)を2、3度揺り動かし、再び動きを止めると、すかさず球審がボークの宣告です。なぜでしょうか。

 球審のボークの宣告に疑問の余地はありません。セットポジションについては、投球姿勢について触れた野球規則5.07の(2)で次のように定められています。

 「投手は、打者に面して立ち、軸足を投手板に触れ、他の足を投手板の前方に置き、ボールを両手で身体の前方に保持して、完全に動作を静止したとき、セットポジションをとったとみなされる。この姿勢から、投手は、(1)打者に投球しても、塁に送球しても、軸足を投手板の後方(後方に限る)に外してもよい。(2)打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない」

 つまり、いったん静止した両手をひとたび動かしたならば、それは投球動作の開始を意味し、両手を動かしていながら投球または送球を行わないのは、投球動作の中断でボークというわけです。

 1985年にヤクルトアンディ・ビーンという投手がいました。同年6月13日の巨人戦(福井)で、先発のマウンドに立ったビーンは、4回に一塁に走者を置いてセットポジションをとったあと、ヘソの前でグラブをしきりに動かしたため、ボークを宣告されています。

 3回まで巨人をパーフェクトに抑えていましたが、4回の先頭打者に、三塁線へ絶妙なセーフティーバントを決められ動揺したのでしょうか。それで、こんな初歩的ともいえるミスをしてしまったのかもしれません。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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