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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

打球が投手のスパイクに直撃した後、そのまま三塁手がノーバウンドで捕球。この場合の処置はどうなる?

 

打球が投手のスパイクのつま先を直撃し、そのまま高く上がったところを三塁手が捕球しました。審判はただちに打者アウトを宣告しましたが、攻撃側は投手のスパイクに当たったのを他の野手がつかんでも、アウトにはならないはずだと抗議してきました。このケースの場合、ルール上の処置はどうなりますか。

 審判の宣告どおりに打者はアウトになります。攻撃側は野球用語の「キャッチ」(捕球)の一部と取り違えたのでしょう。規則書にあるその定義5.09(a)の(1)には「野手が飛球に触れ、そのボールが攻撃側チームのメンバーまたは審判員に当たった後に、いずれの野手がこれを捕らえても“捕球”とはならない」とあるからです。

 この「キャッチ」の【原注g2】の冒頭にはこうあります。「野手がボールを地面に触れる前に捕らえれば、正規の捕球となる。その間、ジャッグルしたり、あるいは他の野手に触れることがあっても、さしつかえない。走者は、最初の野手が飛球に触れた瞬間から、塁を離れてさしつかえない」とあります。

 打球がスパイクに当たったとき、同時に地面に触れていればゴロと同じ扱いになりますが、スパイクに当たっただけで跳ね上がり、それを三塁手がつかめば、記録上は投手に補殺がついた三塁フライになります。

 1985年8月31日に神宮球場で行われたヤクルト巨人戦の5回表、巨人の攻撃のとき、二死一、二塁で吉村禎章の打球は痛烈なライナーとなって、荒木大輔投手の足元を襲いました。荒木投手は無意識に右足を出すと、ボールはスパイクに当たってはね上がりました。

 これを三塁手の角富士夫が捕球したのですから、吉村は投手に補殺がつく三塁フライでアウトになります。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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