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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

ベンチに交代選手がいない状況で出場中の選手が負傷。プレー続行は困難な場合、8人で試合を続けることは許される?

 

ホームチームが大量リードの8回表に出場選手を大幅に交代させました。ところがビジターチームの猛烈な反撃に遭い、ベンチに残る最後の1人を投手として登板させましたが、その投手が打球を受け、続投が困難な状況となりました。交代できる選手はもうベンチにはいないので、仕方なく右翼手をマウンドに上げて、8人で試合を続けようとしましたが、これは許されるでしょうか。

 サッカーやラグビー、アイスホッケーなどは、選手が欠けた状況でも試合を続けることができますが、野球では許されません。

 規則7.03(b)には「一方のチームが競技場に9人のプレーヤーを位置させることができなくなるか、またはこれを拒否した場合、その試合はフォーフィッテッドゲーム(没収試合)となって相手チームの勝ちとなる」とあります。したがって、監督は常に、最後の1人を残しておく采配をする必要があるでしょう。

 プロ野球では1試合に25人までベンチ入りできますが、選手を全部使い切ることは通常、ありません。2015年の例を挙げると、最大起用人数は24人で、阪神中日で1試合ずつ記録されています。巨人ソフトバンクは最大でも21人までの起用でした。

 高校野球では、交代させる選手がいなくなり、泣く泣くフォーフィッテッドゲームにされてしまうことがまれにあります。

 2016年で言えば9月11日の秋季東京大会1次予選でありました。駿台学園高と広尾学園高との試合で、選手登録が9人だった広尾学園高の投手が負傷して投げられなくなり、人数不足で没収試合(東京都高野連の規定により9対0で駿台学園高の勝利)となりました。1回の守備で打球が右手人さし指を直撃し、2回から投げられなくなったためです。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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