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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

二死一、二塁で投手が投球前にボークを犯すも投球を続け、打者は左翼越えの二塁打を放った。二者生還も、一走が二塁を踏み忘れた。判定は?

 

二死一、二塁で投手が投げようとしたその瞬間、球審はボークを宣告しました。投手がセットポジションから投げるにあたって、一時停止を怠ったからです。しかし投手はそのまま投球を続け、打者はこの投球を左翼越えの二塁打としました。一走、二走は本塁を踏みましたが、ここで守備側の遊撃手がタイムを要求し、一走の二塁空過をアピールしました。この場合の得点はどうなりますか。

 守備側のアピールが認められ、二者の生還は無効になり、無得点となります。

 規則6.02aの(13)には、「投手がセットポジションから投球するに際して、完全に静止しないで投球した場合」とあり、そのペナルティの後段に「ボークにもかかわらず、打者が安打、失策、四球、死球、その他で一塁に達し、かつ、他のすべての走者が少なくても1個の塁を進んだときには、このペナルティの前段を適用しないで、プレイはボークと関係なく続けられる」とあります。

 さらにここにある【規則説明2】には、「(a)項ペナルティを適用するに際して、走者が進塁しようとする最初の塁を空過し、アピールによってアウトを宣告されても、1個の塁を進んだものと解する」とありますから、二塁ベースを踏まずに空過した一走に対する守備側のアピールは成立するのです。

 二死後のアピール成立ですから、その前に本塁を踏んでいる二走の得点は取り消しになるわけです。

 野球規則5.08の【例外】にあるとおり「第3アウトが次のような場合には、そのアウトにいたるプレイ中に、走者(1、2にあたる場合は全走者、3にあたる場合は後位の走者)が本塁に進んでも、得点は記録されない」とあり、(2)には「走者がフォースアウトにされたとき」とあります。野球の大原則です。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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