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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

無死一、二塁で二塁走者の視野を遊撃手が妨げるようなアクションを行うのはルール上許されている?

 

無死一、二塁で打者はバントの構えです。このとき遊撃手は二塁走者の前に出て左右に動くので、二塁走者は投球する投手も打者の姿もしっかりと見ることができません。走者は視野を妨げる遊撃手の行為を審判員に抗議しましたが、こうした行為は許されるのでしょうか。

 この場合の遊撃手の行為は決して許されることではありません。審判員は遊撃手に退場を命じることもできます。

 野球規則6.04には競技中のプレーヤーの禁止事項が列記されています。(a)(1)には

「言葉、サインを用いて、観衆を騒ぎたたせるようにあおったり、あおろうとすること」

 などがあります。さらに(c)には

「野手は、打者の目のつくところに位置して、スポーツ精神に反する意図で故意に打者を惑わしてはならない」

 とあり、“ペナルティ”として

「審判員は反則者を試合から除き、競技場から退かせる。なお投手がボークをしても無効とする」

 とありますから、今回のケースのように遊撃手が目にあまる行為をすれば、退場させることもできるのです。

 もっともこのような行為は守備側にもそれなりのマイナス点があります。

 遊撃手が走者にかまっているので、必然的に三遊間はがら空きになります。また、打者のバントによって二塁走者が三塁へと進塁しようとするとき、万一ボールを持たない遊撃手とぶつかったときには、遊撃手はオブストラクション(走塁妨害)が宣告され、走者は三進が許されます。もちろん、打者走者も一塁に生きることになります。

 守備側はこうした危険を承知の上で行っているトリックプレー(のはず)なので、杓子定規に審判員が規制していないのかもしれませんが、目にあまれば、退場させられても仕方ありません。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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