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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

攻撃側チームが打席途中に打順違いに気付いた場合の処置と、守備側チームがアピールした場合の処置は?【後編】

 

Aチームの攻撃は六番からのはずでしたが、勘違いした七番打者が打席に立ち、2ボール1ストライクのカウントで攻撃側チームが誤りに気付きました。この場合の処置は?また、守備側からのアピールであれば、打者はアウトになるのでしょうか。

 どちらが打順の誤りに気付いたにせよ、規則6.03(b)(2)により正位の打者である六番打者が、カウントを引き継いで、打席に立つこととなり、打順の誤りによるペナルティー(アウト)はないことを前号(12月11日号)で解説しました(→こちら)。また、打撃が完了した場合は守備側のアピールがあれば本来打席に立つべき正位の打者にアウトが宣告され、不正位打者が一塁に進んだことに起因した、進塁および得点は無効となることも併せて説明しました[6.03(b)(1)および(3)]。

 では、打順を間違えた打者が打席にいるときに、塁上の走者が盗塁を決めたらどうでしょうか。この規則には続きがあって、同(4)には「走者が、不正位打者の打撃中に盗塁、ボーク、暴投、捕逸などで進塁することは、正規の進塁とみなされる」とあるので、この盗塁は認められます。

 このコーナーでたびたび話題に上る''「アピール」’’ですが、このケースでも不正位打者が打撃を完了した後、守備側が誤りを指摘できるのは次打者への“投球前”であり、投球でなくてもけん制など何かしら企てたプレーも“投球”に該当し、その後のアピールの場合には不正位打者は正位打者として認められ、試合は続行されます[同(5)]。

 なお、同(6)には「正位打者が、打撃順の誤りを発見されてアウトの宣告を受けた場合には、その正位打者の次の打順の打者が正規の次打者となる」とあるように、六番打者の順で七番打者が誤って打撃を完了し、アピールがあった場合、次に打席に立つのは再びこの七番打者ということになります。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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