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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

5月1日の広島対巨人で宣告された野球規則には特別の記載のない“警告試合”とは?

 

2018年5月1日に行われた広島巨人[マツダ広島]で、警告試合が宣告されました。公認野球規則には警告試合の記載がないようですが、警告試合とは何ですか?

 警告試合とは、プロ野球において報復や乱闘などを防ぐために、宣告後の死球などの危険なプレーを行った選手と、その選手が所属するチームの監督を退場させることを審判員が宣告した試合のことです。乱闘や両チームの選手がグラウンド上に飛び出して、あわや乱闘寸前のにらみ合いに発展したり、頭部死球や頭部付近の投球により危険球退場が宣告され、その後、報復が行われる可能性があると審判団が判断した場合に警告が宣告されます。問のように公認野球規則には“警告試合”を規定した規則はなく、日本(NPB)の場合はセ・パ両リーグのアグリーメント(申し合わせ事項)に記載されています。

 なお、警告試合が宣告された場合、その後のすべての死球を退場の対象とするものではなく、故意性や悪質性がないと審判員が判断すれば、退場処分とはなりません。

 5月1日の広島対巨人の場合、3回裏一死一、三塁の場面で巨人先発の山口俊選手が、打席の會澤翼選手の初球に死球を与え、これに怒った會澤選手がマウンドに歩を進めたことで、両軍ベンチから選手が飛び出し、乱闘寸前となったために警告試合が宣告されました。実は會澤選手はこの日の2回の第1打席でも初球に死球を受けており、また過去にも山口俊選手とは死球を巡る因縁(12年に鼻骨骨折)があったことから、我慢ができなかったのでしょう。

 なお、警告試合が宣告されたあと、5回表の巨人の攻撃でA.ゲレーロ選手が広島先発の中村祐太選手からこの日2つめの死球を受けましたが、これは緩い変化球のすっぽ抜けで、故意性も悪意性もないとの判断から退場とはなりませんでした。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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