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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

オリックス対ソフトバンクの誤審問題。審判団は誤審を認めたのに、オリックスが求めた続行試合が認められないのはなぜ?

 

6月22日のオリックスソフトバンク(ほっともっと)で、右翼ポール際への飛球がリプレイ検証され、ファウルからホームランと覆った判定が、今度は試合後に誤審と審判団が認めました。オリックス球団は続行試合を求めましたが、野球規則委員会は「規則に基づき続行試合を行わない」としました。この規則はどのようなものですか。

 野球規則7.04のことでプロテスティングゲーム(提訴試合)について定めたものです。ここには「審判員の裁定が本規則に違反するものとして、監督が審議を請求するときは、各リーグは試合提訴の手続きに関する規則を適用しなければならない。審判員の判断に基づく裁定については、どのような提訴も許されない。提訴試合では、リーグ会長の裁定が最終のものとなる。審判員の裁定が本規則に違反するとの結論が出た場合であっても、リーグ会長において、その違反のために提訴チームが勝つ機会を失ったものと判断しない限り、試合のやり直しが命ぜられることはない」とあります。

 今回のケースを整理すると、3対3の同点で迎えた延長10回表二死一塁、ソフトバンクの中村晃選手が放った右翼ポール際の打球について、一度はファウルの判定。しかし、工藤公康監督の「リクエスト」でリプレイ検証に入り、その結果、ホームランと覆りました。これが審判団の正当な最終ジャッジ(誤審ではあるが……)であり、規則にある「審判員の判断に基づく裁定については、どのような提訴も許されない」を理由に、規則委員会は続行試合は行わないことをオリックス球団に通告したのです。

 これについてオリックス球団は再検討を申し立てているので事態はまだ落ち着きませんが、そもそもの問題は試合終了後に審判団が福良淳一監督の抗議を受け入れ、立会いの下、映像を再度見直したことではないでしょうか。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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