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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

二塁走者が三ゴロを捕球した三塁手のタッチをかいくぐろうと走路を大きく逸れ三塁に生きた場合、アウトではない?

 

6月29日に行われたヤクルト阪神(神宮)の、7回裏、ヤクルトは一死二塁から代打・荒木貴裕選手が三塁前へのゴロ。これを捕球した三塁手・北條史也選手が二走の藤井亮太選手にタッチを試みましたが、これをかいくぐろうとした藤井選手が走路から大きく逸れ、倒れ込みながら三塁に生きました。“3フィートのオーバー”でアウトではないのですか?

 まず問にある“3フィートのオーバー”とは「走者アウト」について触れた野球規則5.09(b)(1)の「走者が、野手の触球を避けて、走者のベースパス(走路)から3フィート以上離れて走った場合」のことで、確かに藤井選手は3フィート以上離れているように見えました。しかし、審判員はこの規則を適用せず、金本知憲監督は猛抗議をしましたが、判定は覆りません。

 その後、当該試合の責任審判員が「北條選手にタッグ行為(タッチ)がなかったので。インプレーとして再開します」と場内にアナウンスしています。前述した5.09(b)(1)の続きには「ただし、走者が打球を処理している野手を妨げないための行為であれば、この限りではない」とあり、審判員はこの項を適用したことを説明しました。

 納得いかないのは阪神です。北條選手は明らかにタッチにいっており、藤井選手の走塁は「野手を妨げないための行為」には該当しないように見えるからです。

 翌30日、阪神球団は判定についての意見書をNPBに提出、7月4日にNPBからの回答書が届いた阪神は、谷本修副社長兼球団本部長が取材に応じ“誤審”について、審判団から謝罪があったことを明かしています。なお、回答書には藤井選手の走塁は『走路アウトと判断すべき事案だった』こと、併せて該当プレー後に『4審判が協議すべき事例だった』と書かれていたそうです。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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