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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

一死満塁で遊飛にインフィールドフライが宣告。これを落球し、一走が慌てて二塁を狙うも送球が一瞬早かった。他走者はそれぞれ進塁の場合の判定は?

 

打者がバッターボックス内に入りましたが、バッティング手袋のマジックテープを締め直したり、足場をならすなどして、なかなか打撃姿勢を取りません。バッテリーはサイン交換を終え、投球する準備ができています。すると、まだ投手が投球をしていないのに球審が「ストライク」を宣告しました。なぜですか。

打者の遅延行為を球審が認めたためです。“打者”について定めた野球規則5.04の(b)(3)には次のように記されています。

「打者が、バッターボックス内で打撃姿勢を取ろうとしなかった場合、球審はストライクを宣告する。この場合はボールデッドとなり、いずれの走者も進塁できない。このペナルティの後、打者が正しい打撃姿勢をとれば、その後の投球は、その投球によってボールまたはストライクがカウントされる。打者がこのようなストライクを3回宣告されるまでに、打撃姿勢を取らなかったときは、アウトが宣告される」

 問のケースでは打者がバッターボックス内でどの程度の時間を費やしていたのか分かりませんが、規則5.04(b)(1)には「打者は自分の打順が来たら、速やかにバッターボックスに入って、打撃姿勢をとらなければならない」と定められていますから、常識の範囲内で打撃姿勢を取らなければ、球審に「ストライク」をコールされても仕方がないでしょう。

 なお、5.04(b)(3)には【原注】の続きがあって、「球審は、本項により打者にストライクを宣告した後、再びストライクを宣告するまでに、打者が正しい打撃姿勢をとるための適宜な時間を認める」とありますが、速やかに打撃姿勢を取るべきですね。打者には正当な理由がない限り、思うままにバッターボックスを出入りする自由も与えられておらず、この中ではさまざまな制限があることを頭に入れておくべきです。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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