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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

無死一塁でフルカウントから打者はハーフスイングの疑い。球審が一塁塁審へ確認を求めてジェスチャーをしましたが走者が四球と勘違いして塁を離れた場合、どうなる?

 

無死走者一塁です。打者(右)のカウントが3ボール2ストライクとなり、アウトコース低めのボール球にスイングしかけて、ギリギリのところでスイングを止めました。球審はコールをしませんが、すかさず捕手が一塁塁審へのリクエストを要求したので、球審は一塁塁審を指さして判定をうながしましたが、これを四球と勘違いした一塁走者がベースを離れ、ゆっくりと二塁方向へ向かいました。しかし、一塁塁審の判定はストライク。これを見た捕手は、一塁へ転送し、一塁手は走者にタッチします。この場合、走者はアウトになるのですか?

 走者はアウトとなります。ハーフスイングについては“審判員の裁定”について触れた野球規則8.02にあります。この(C)の【原注2】に「(前略)ハーフスイングについて、監督または捕手が前記(※塁審へのリクエストのことです)の要請を行ってもボールインプレイであり、塁審がストライクの裁定に変更する場合があるから、打者、走者、野手を問わず状況の変化に対応できるよう常に注意していなければならない」とあります。問のケースでは、そもそも球審が一塁塁審に判定をうながすジェスチャーを「四球で一塁へ歩け」というジェスチャーと勘違いした一塁走者に落ち度がありますが、この間もボールインプレーであることは覚えておくとよいでしょう。微妙なハーフスイングのときは、自分で判断を下さずに、じっと塁についているほうが良いということです。

 ちなみに、球審のジェスチャーは、アピールとストライク(もしくは四球)の混同を避ける意味で、球審は一塁または三塁の方向に1〜2歩踏み出して、左手(ストライクのコールは右手で行う)でスイングしたのかどうかを塁審に聞くことが定められています。このような審判の動きについても、プレーヤーは知っておく必要があります。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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