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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

内野手からのワンバウンド送球をミットの土手と胸の間にボールを挟むようにストップ。なぜアウトではない?

 

打者は遊撃への平凡なゴロを打ちましたが、遊撃手の一塁への送球がワンバウンドとなり、一塁手は体を張って、閉じたミットの土手の部分と胸の間にボールを挟むようにしてストップしました。打者走者がベースを駆け抜けたのは、その直後でしたが、一塁塁審の判定は「セーフ」です。一塁手はボールを落球していないのに、なぜ打者走者はアウトにならないのでしょうか。

 問の状況では、一塁手のプレーが捕球とは認めらないからです。野球規則でいう“捕球”とは、定義15にしっかりと規定されています。その内容はこうです。

「野手が、インフライトの打球、投球または送球を、手またはグラブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為であって、帽子、プロテクター、あるいはユニフォームのポケットまたは他の部分で受け止めた場合は、捕球とはならない」

 また、“打者アウト”を定めた野球規則5.09(a)(1)にもアウトになる場合として「フェア飛球またはファウル飛球(ファウルチップを除く)が、野手に正規に捕らえられた場合」と定められており、この一文の後に、前述した定義15と同じ文章が掲載されています。

 問のケースではミットの中に送球を収めて一塁の触塁時(打者走者が一塁に到達する前)に保持していれば文句なくアウトですし、仮にミットの土手と胸の間に挟んでストップするのが精いっぱいでも、すかさずミットまたはグラブをはめていないほうの手でボールをつかみ直せば、やはり打者アウトとすることができます。

 ちなみに、体で送球をストップしたはずみにユニフォームの中にボールが入ってしまった場合、これは捕球ではありませんから、この間に打者走者が一塁に到達すればセーフです。なお、野球規則では、打球・送球がユニフォームの中に入り込んだときの処置に関しては記載がないので、インプレーで成り行きのままです。(文責=編集部)
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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