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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

サイン交換に手間取っていた投手に球審がボールを宣告。どんなルールが適用された?

 

2009年(8月18日、巨人対横浜)のプロ野球中継の録画映像を見直していたら、7回裏、一死走者なしの場面で、横浜の工藤公康選手(現ソフトバンク監督)が1ボールからの2球目を投げようとしたところ、球審がこれを制止し、2ボールから試合再開となりました。どういうことでしょうか。

 投手の遅延行為です。現在の野球規則5.07(C)(※09年当時は8.04)には「塁に走者がいないとき、投手はボールを受けた後12秒以内に打者に投球しなければならない。投手がこの規則に違反して試合を長引かせた場合には、球審はボールを宣告する」とあり、この規則が適用されました。ただし、日本のプロ野球の場合、12秒ではなく15秒と決められていて、2009年から採用(※規則上は06年までは20秒で、07年からは12秒)、工藤公康選手はこの“15秒ルール”の適用第1号でした。

 この試合の状況を説明しましょう。7回裏、一死走者なしから巨人の谷佳知選手を打席に迎えた場面でした。1ボール後のサイン交換に時間が掛かり、モーションに入る直前で二塁塁審が球審にタイムオーバーを告げ、遅延行為が適用となりました。

 15秒(12秒)の計測についても野球規則に記載があり、さきほどの5.07(C)の続きで「12秒の計測は、投手がボールを所持し、打者がバッタースボックスに入り、投手に面したときから始まり、ボールが投手の手から離れたときに終わる」とあります。

 この規則は無用な試合の引き延ばし行為をやめさせ、試合のスピードアップを目指す目的で定められたもので、同規則には「(1)投球を受けた捕手は、速やかに投手に返球すること。(2)また、これを受けた投手は、ただちに投手板を踏んで、投球位置につくこと」も併せて記されています。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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