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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

一死三塁から打者が左翼線に大きな飛球。左翼手は捕球体勢に入るも捕球を見送り、ファウルに。左翼手に失策は記録される?

 

同点の9回裏、一死三塁から打者は左翼線に大きな飛球を打ち上げました。三塁走者はタッチアップに備えてベース上で構えています。左翼手がこの飛球をやや下がりながら追い、捕球体勢には入ったものの、捕球を見送り、打球はファウルグラウンドに弾みました。このとき、左翼手には失策は記録されますか?

 このケースでは左翼手に失策は記録せず、試合は再開されると考えられます。

“失策”については野球規則9.12に規定があり、「失策の記録は、本規定により、攻撃側チームを利する行為をした野手に与えられる」と定められています。また、ファウル飛球に関しては同規則の(a)(2)に

「野手がファウル飛球を落として、打者の打撃の時間を伸ばした場合は、その野手に失策を記録する。──その後打者が一塁を得たかどうかには関係しない。【注】野手が普通の守備行為でなら捕らえることができたと記録員が判断したときだけ、失策を記録する」とありますので、問のケースでも失策が記録されそうですが、規則には例外も示されています。

(a)(1)を見てみると、「(前略)ただし、0アウトまたは1アウトのとき、三塁走者がファウル飛球の捕球を利して得点するのを防ごうとの意図で、野手がその飛球を捕らえなかったと記録員が判断した場合には、その野手には失策を記録しない」とあります。問で挙げられているのはサヨナラのケースです。仮に左翼手がファウル飛球を捕球していたらどうなっていたでしょう。三塁走者がタッチアップし、生還→試合終了の可能性も考えられます。

 このとき、ファウル飛球を見送った左翼手はサヨナラの事態を避けるためにあえて捕球をしなかった(つまり、攻撃側チームを利する行為を避けた)、と記録員が判断をすれば、左翼手に失策は記録されません。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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