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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

内角のボールを避けたのに球審の判定は空振り「三振」。どういうこと?

 

7月31日に行われたロッテ楽天(ZOZOマリン)の2回二死、太田光選手が空振り三振をとられたシーンについて質問です。ロッテの先発・石川歩選手がフルカウントから投じた7球目ですが、インコース高めのボール球で、太田選手はややバットのヘッドを下げながら、このボールを避けたように見えましたが、捕手がこの投球を捕球すると、球審が三振のゼスチャーで交代となりました。どういうことでしょうか。

 このプレーは『バットを振っていない空振り三振』というタイトルで新聞等でも取り上げられていました。

 簡潔に言うと、このとき、確かに楽天の太田光選手はスイングをしていませんが、避けたバットのグリップにボールがかすり、ダイレクトで捕手が正規に捕球をしているので、ファウルチップ=ストライクで三振というジャッジが下ったと考えられます。

 ファウルチップについて、野球規則では定義34で次のように記されています。

「FOUL TIP(ファウルチップ)──打者の打ったボールが、鋭くバットから直接捕手の手に飛んで、正規に捕球されたもので、捕球されなかったものはファウルチップとならない。ファウルチップはストライクであり、ボールインプレイである。前記の打球が、最初に捕手の手またはミットに触れておれば、はね返ったものでも、捕手が地面に触れる前にとらえられれば、ファウルチップとなる」

 問題のシーンはリプレー映像でスロー再生して見ても、バットにかすったか、かすっていないか判別がつかないほど微妙なプレーでしたが、球審や捕手の反応を見る限り、かすった音等で明らかなファウルチップだったのでしょう。ナイスジャッジですが、避け切れなかった打者にとっては不運だったかもしれません。

 なお、チップしたものが捕手の手やミット以外の用具や体に触れてから跳ね返ったものを、たとえ捕手が地面に触れる前に捕球したとしても、正規の捕球とはみなされないので、この場合はファウルボールです。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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