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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

二死二、三塁から投手が無人の一塁にけん制(→ボーク?)で2者が生還。得点は認められる?

 

9月6日の阪神ヤクルト(甲子園)でのことです。ヤクルトのマクガフ投手が二死二、三塁の場面で、無人の一塁にけん制球を投げ、一気に2者が生還する珍しいシーンがありました。走者のいない塁に投じた時点で“ボーク”だと思うのですが、この時点でボールデッドとなるのではないのですか? そうなれば2人目の生還は認められないと思うのですがどうでしょう?

 珍しいプレーというよりも、ヤクルト・マクガフ投手のボーンヘッドです。状況は問にあるとおり、1点リードの7回途中から3番手で登板したマクガフ投手が二死二、三塁の場面で、何を思ったのか無人の一塁にけん制球を投げ、一塁手の坂口智隆選手が必死に飛び込みましたが、捕球できず。一塁側ファウルゾーンを転々としている間に三塁走者だけでなく、二塁走者も生還し、一気に阪神が逆転しました。

 この直後、ヤクルト・高津臣吾監督は梅木謙一球審の下へ向かい「坂口が捕っていたらボーク。それが逸れて、捕れなかったので、送球扱いになって2人とも生還を認めます」と説明されたことを明かしており、公式記録上もボークとマクガフ投手の送球エラーが記録されています。

“走者がいない塁へのけん制”については公認野球規則6.02(a)(4)に「投手板に触れている投手が、走者のいない塁へ送球したり、送球するまねをした場合」ボークとなる旨、記されています。

今回のケースも一塁に投げた時点でボークは宣告されていましたが、さらに、【規則説明1】には

「投手がボークをして、しかも塁または本塁に悪送球(投球を含む)した場合、塁上の走者はボークによって与えられる塁よりもさらに余分な塁へアウトを賭して進塁してもよい」や【注】で

「余分に進もうとしたときには、ボークと関係なくプレイは続けられる」

と明記されており、今回のケースではこれらの規則が適用されたと考えられます。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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