週刊ベースボールONLINE

よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

無死一、二塁から小フライを落球も、打者アウト。なぜ?

 

10月18日のDeNA巨人(横浜)の試合で、二塁を守るDeNAのソト選手が小フライ(ハーフライナー)を落球したのにもかかわらず、打者アウトが宣告され、一、二塁の走者はそのままで試合が再開されるシーンがありました。なぜですか。

 まず、実際のプレーを振り返ってみましょう。二回無死一、二塁の場面で、巨人の大城卓三選手の打球が二塁への小フライとなりましたが、落下点に入っていたDeNAの二塁手のソト選手がこれをグラブに当てボールを落球。素早く拾い上げて二塁へトスしました。この一連のプレーを見た二塁塁審の長井功一審判員が「故意落球とし、打者走者をアウトとします」と場内アナウンスで説明。試合は一死一、二塁で再開されました。

 故意落球については“打者アウト”を規定した野球規則5.09(a)(12)に「0アウトまたは1アウトで、走者一塁、一・二塁、一・三塁または一・二・三塁のとき、内野手がフェアの飛球またはライナーを故意に落とした場合。ボールデッドとなって、走者の進塁は認められない」と定められています(打者にはアウトが宣告される)。

 なぜこのような規則があるのかというと、容易に捕球できるはずの飛球、ライナーを、一度は捕球したと見せかけて故意に落球すると、併殺となりやすく、アンフェアだという考えからです。故意落球が適用されるケースで明らかな飛球となった場合はインフィールドフライが宣告されることが多く、この場合は5.09(a)(12)は適用されません。なお、質問のケースでソト選手が打球に触れないで地上に落とした場合は、打者アウトとはなりません。あくまでも容易に捕球できる飛球またはライナーを、内野手が地面に触れる前に片手または両手で現実にボールに触れ、その上で故意に落としたと審判員が判断した場合に適用されます。[文責=編集部]
よく分かる!ルール教室

よく分かる!ルール教室

元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング