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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

新型コロナ化で9回打ち切りの今季、試合の最後を投げ切った投手には『ホールド』は記録されない?

 

 新型コロナ禍でプロ野球は今季も9回打ち切り、延長なしでペナントレースを行っています。通常開催で延長があった場合、リリーフの投手が同点の9回にマウンドに立って、延長につなげれば、『ホールド』が記録されると思います。今季のように9回打ち切りが決まっていて、同点で9回からマウンドに上がり、この回を投げ切った投手にも『ホールド』が記録されるのですか? さすがに『セーブ』ではないと思いますが……。

 今回は投手の記録に関する質問です。9回打ち切りとなった今季、質問のようなケースでは、そのチームのクローザーが投げる機会が多いようです。いわゆるセーブが記録されるシチュエーションではありませんが、「同点のまま試合を終わらせることに大きな価値がある」と判断しているのでしょう。しかし、この場合、同点のまま9回裏を投げ切った投手に『セーブ』はもちろんのこと、『ホールド』も記録されることはありません。

 これは延長が特別規定で10回までだった昨季も、12回までだった一昨年より以前も実は同様の扱いでした。9回打ち切りということで、この部分がクローズアップされ、疑問に感じたのかと思います。

 なお、最後を締めた投手には「交代完了(Games Finished)」が記録されることとなりますが、これは「先発投手以外で最後に投げた投手」にはすべてつくもので、『セーブ』が記録されるようなケースはもちろん、セーブが記録されないような大きく点差が開いたような状況でも、仮にサヨナラ負けをしたような場面でもつくものです。

 ちなみにですが、質問のように、延長があった場合、日本では同点の9回に登板して延長につなげれば『ホールド』が記録されますが、メジャー・リーグの場合、そもそも同点の状況で登板して抑えても、『ホールド』が記録されることはないので、質問のような「同点の9回」もその限りではありません。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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