7月3日のエンゼルス対オリオールズの試合でのことです。同点の9回一死から大谷翔平選手が四球で出塁し、次打者のカウント1ボール1ストライクから盗塁を試みました。捕手が送球しましたが、大谷選手の足が速く、余裕のセーフに見えましたが……一塁に戻されてプレーが再開されました。その後、大谷選手は仕切り直してきちんと盗塁を決めています。なぜ1度目は戻されたのでしょうか。 実はこのとき、捕手のセベリーノ選手の二塁送球がワンバウンドになっているのですが、送球直前、打者のレンドン選手が空振りしたバットが、セベリーノ選手のヘルメットに当たっているのです。球審はこれを打者の捕手へ対する反則行為と判定したため、大谷選手は一塁へと戻されました。
打者に妨害があったとき、多くの場合は打者にアウトが宣告されることとなりますが、このようなケース、つまり打者のバットが捕手にあたってしまったようなときは、これが故意ではないと審判員が判断すれば、例外とされます。
打者の反則行為について触れた野球規則6.03(a)の【3.4原注】には
「打者が空振りし、スイングの余勢で、その所持するバットが、捕手または投球に当たり、審判員が故意ではないと判断した場合は、打者の妨害としないが、ボールデッドとして走者の進塁を許さない。打者については、第1ストライク、第2ストライクにあたるときは、ただストライクを宣告し、第3ストライクにあたるときに打者をアウトにする(一部抜粋)」とあります。
このことから、打者のレンドン選手はアウトにされず、ボールデッドで大谷選手は一塁に戻され、一死1ボール2ストライクから試合が再開となりました。
なお、このあと、レンドン選手はあえなく三振となりましたが、次打者のウォルシュ選手のときに、大谷選手は初球盗塁を成功させ、直後の右前打でサヨナラのホームを踏んでいます。[文責=編集部]