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7月10日の試合でリリーフで登板した中日の投手が体調不良で練習後に降板規則上はどのように定められている?

 

よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

7月10日の試合でリリーフで登板した中日の投手が体調不良で練習後に降板規則上はどのように定められている?

7月10日の中日-DeNA戦(バンテリン)で、中日の谷元圭介選手がリリーフでマウンドに上がりましたが、投球練習後、「体調不良」を理由に打者に対して1球も投げずに降板しました。確か、ルール上では打者1人に対しては投げ切る義務があったと思いますが、野球規則ではどのように定められているのでしょうか。

 まずは状況を整理します。5対2と中日が3点をリードして迎えた7回表、先発の松葉貴大選手と交代で二番手としてコールされたのが谷元圭介選手でした。マウンドで投球練習中、右手を挙げて自軍ベンチへ異常を訴える合図を送り、険しい表情で一塁ベンチへ下がったあと、杉永政信球審から場内に体調不良のため交代する旨、説明がありました。谷元選手の代わりには祖父江大輔選手がマウンドに上がっています。球団は試合後に「投球練習をしている際に、急な体調不良を訴えたために降板しました」
と説明、その後、谷元選手は出場選手登録を抹消されています。

“プレーヤーの交代”について触れた野球規則5.10(g)には「ある投手に代わって救援に出た投手は、そのときの打者または代打者がアウトになるか一塁に達するか、あるいは攻守交代になるまで、投球する義務がある」としています。

 しかし、これには続きがあって、「ただし、その投手が負傷または病気のために、それ以後投手としての競技続行が不可能になったと球審が認めた場合を除く」とあり、今回の中日のケースでは谷元選手の競技続行が不可能となった、と杉永球審が認めたということです。

 なお、MLBでは日本とは異なり先発投手も救援投手も登板したときの打者から最低3人の打者に投球する義務(攻守交代でも可)のある、いわゆる「ワンポイント禁止」が採用されていますが、この場合でも負傷、病気などで競技続行が不可能と球審が認めた場合、交代が可能となっています。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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