打者が一塁線にバントを転がし、一塁ベースに向かって走り出しましたが、これを処理しようとしている捕手とライン際で接触しました。この場合、打者走者に守備妨害が宣告されるのですか？　それとも、捕手に走塁妨害が宣告されるのでしょうか。基本的な考え方として、打球を処理している守備側選手に走者が接触した場合、守備妨害となると聞きました。

“打者または走者の妨害”について触れた野球規則6.01(a)(10)には「走者が打球を処理しようとしている野手を避けなかったか、あるいは送球を故意に妨げた場合(攻略)」は、打者または走者のインターフェア(守備妨害)が記録されるとあります。質問のケースでは打球を処理しようとしている捕手と打者走者がプレーのなりゆきで接触しているので、守備妨害となりそうですが、このケースについては例外とされています。

　6.01(a)(10)に続く【原注】には「捕手が打球を処理しようとしているときに、捕手と一塁へ向かう打者走者とが接触した場合は、守備妨害も走塁妨害もなかったものとみなされて、何も宣告されない」と記されています。したがって、質問のケースは、守備妨害も走塁妨害も宣告されないことになります。

　ただ、もちろんこれにも程度があって、【原注】の続きには「打球を処理しようとしている野手による走塁妨害は、非常に悪質で乱暴な場合にだけ宣告されるべきである。たとえば、打球を処理しようとしているからといって、走者を故意につまづかせるようなことをすれば、オブストラクションが宣告される」と記されています。

　また、「捕手が打球を処理しようとしているのに、他の野手(投手を含む)が、一塁へ向かう打者走者を妨害したらオブストラクションが宣告されるべきで、打者走者には一塁が与えられる」とあるので、守備側の選手は注意が必要です。[文責=編集部]