走者一塁、もしくは一、三塁で、一塁走者が盗塁を企てました。このとき、捕手は盗塁を阻止しようと捕球後、素早く二塁へ送球、アウトを取れそうなタイミングではあったものの、高投となり、一塁走者は二塁に生きました。この場合の記録はどうなりますか？　一塁走者に盗塁は記録されますか？　また、高投した捕手に、失策は記録されないのでしょうか。

　結論からいうと、質問のケースでは一塁走者に盗塁が記録され、捕手に失策は記録されません。

“盗塁”について触れた野球規則9・07(b)を見ると明らかです。「走者が盗塁を企てたとき、投手の投球を受けた捕手が盗塁を防ごうとして悪送球しても、盗塁だけを記録して捕手には失策を記録しない」と定められています。ただし、質問冒頭に「走者一、三塁」のケースが記されていますが、仮に捕手の高投によって、三塁走者がホームにかえった場合や、一塁走者がさらにもう1つ塁を進んだ場合(つまり三塁に進んだ場合)、捕手に失策が記録されることとなります。

　9・07(b)には続きがあり、「ただし、盗塁を企てた走者が、その悪送球を利してさらに目的の塁以上に進むか、あるいは、その悪送球に乗じて他の走者が1個以上の塁を得た場合には、盗塁を企てた走者に盗塁を記録するとともに、その捕手にも失策を記録する」と明記されています。

　なお、走者の盗塁時(投手の投球に先立って走者がスタートを起こしたとき)に投手の投球が暴投または捕逸となった場合も同様で、このときも暴投または捕逸は記録されず、走者に盗塁が記録されますが、盗塁を企てた走者がそれ以上の進塁に成功するか、他の走者が1個以上の進塁に成功した場合、暴投または捕逸もあわせて記録されます<9・07(a)>参照。[文責=編集部]