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甲子園の土が…

 

 熱戦に沸いた甲子園が遂に幕を閉じた。

 3917校の頂点に立ったのは大阪桐蔭だった。

 2対3で迎えた七回裏、二死満塁から大阪桐蔭の主将・中村誠が詰まりながらもセンター前に運び、逆転の二点適時打。これが決勝点となり、2年ぶり4度目の栄光に輝いた。

 優勝の立役者となった中村主将は場内インタビューで、「うれしくて涙が止まりません」と大号泣。

 甲子園に涙は付き物であるが、勝者の涙は私の記憶にはなく、なんだか非常に清々しい気持ちになった。

 本日(8月25日)はインターネット上でも甲子園一色。

 舞台裏を記した記事や三重高の健闘を称えている内容も多く見かけた。

 そこで、一瞬目を疑うような記事が飛び込んできた。

「甲子園の土がオークションに出品中」

 調べてみると、入場者に限定配布された阪神甲子園球場90周年の記念品のようだ。

 出品者の自由、と言えばそれまでだが、私には到底理解できない。

 甲子園の土は、高校球児の憧れだと思う。
 夢の舞台に立つために、苦しい練習に励んでいる球児は山のようにいる。

 聖地の土にはさまざまな人の想いが込められている。

 その土を多額の値段で販売するのは……正直、悲しい気持ちになる。

 そんなことを望んでいる野球ファンはいない、と私は信じたい。(高橋透)
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週刊ベースボール編集部による日替わりコラム。取材のこぼれ話も。

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