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ドカベンを知らない世代

 

 数年前、友人たちと一緒に日本代表戦(サッカー)をテレビで観戦していたとき、日本の応援席に「ドカベン香川」と書かれたボードが掲げられていた。

 すると、「『ドカベン香川』ってなんですか?」と1人の後輩に質問され、少し困惑しつつ、少し驚きながらも、得意げにドカベンについて説明した。質問してきた彼は6歳以上は年が離れているので、今年30前後になる。

 ドカベンを知らない世代がもう30代になったのかと驚いたものだ。ボードの香川は、日本代表の香川真司とドカベンを引っかけたものなので、若くはないサポーターが作ったものだろうと想像できる。

 そんなドカベン香川さんと昨年、浪商高時代について取材する機会に恵まれた。そのとき「この前まで生死の境をさまよってたけど、いまは元気よ」と話しており、約1時間の取材に応じてくれた。

「もう死ぬのは怖くない。いつ死んでもおかしくないからね」と言ったときはかなりドキッとした。見た目はすごく元気そうだったので、それほど早くお別れの日が訪れるとは、このとき思ってもみなかった。

 今年に入ってからも、一度だけ電話で取材をお願いすると、昨年と変わらず元気に応じてくれた。しかし、残念ながら、いまはもう二度とお話しすることができない。これからドカベン香川を知らない世代が続々と社会に出てくるので、きちんと伝えていこうと思う。(池田晋)
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週刊ベースボール編集部による日替わりコラム。取材のこぼれ話も。

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