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プロ野球はセンバツと夏の選手権と重ならないスケジュールにすべきでは?
開幕は4月、夏休みを取る、これで棲み分けたい

 

今年のセンバツの開会式。センバツが終わったら野球という流れの方がいい/写真=早浪章弘


 プロ野球が開幕したが、すっかり3月開幕というのが定着した。筆者のような世代には、プロ野球の開幕は4月に決まっていた。両リーグ130試合に足並みがそろった1969年からは、4月10日前後が開幕日。東京周辺ならすでに桜は散り、葉桜になっているころだ。それから少し早くなって4月5日前後に。これは入学式のころだ。

 この開幕は、実は野球ファンにとっては、まことに好都合で、甲子園のセンバツ大会が終わると、すぐにプロ野球が始まるというスケジュールは、楽しみが切れ目なくどんどんつながっていく感じでとてもうれしかった。

 今年だとセンバツが3月21日、プロ野球は28日の開幕。野球ファンは、高校野球とプロ野球を一緒に見なければならないから忙しい。スケジュールどおりにいけば、センバツの決勝は4月1日だったが、春の大会は雨が多く、1日順延。4月2日のプロ野球は6試合ナイターだから、昼はセンバツ決勝、夜はプロ野球を楽しむということになるワケだが、「倍楽しめる!」と喜ぶファンもいるだろうが、筆者などは、「プロとアマでうまく連携しろよ」と言いたくなる。

 プロ、アマの連携は、プロのアマ指導の“自由化”だけにあるのではない。アメリカのプロスポーツは、野球、バスケット、アメフトがスケジュールでうま〜く棲み分けている。高校野球のシーズンは高校野球だけ、プロのシーズンはプロだけに注目してもらった方が、いいような気がするのだが、どうだろう?

 甲子園の夏の選手権大会は、8月8日ぐらいの開幕で2週間余り。プロ野球は、この2週間をほぼ休みにしたらどうだろうか。「高校野球に興味のないファンもいる」という声もあるだろうが、夏の甲子園は、長嶋サンじゃないが“国民的行事”である。ここは夏の選手権に敬意を表してほしい。

 この間、プロ野球を“お休み”にするためには2シーズン制を採用すればいいのである。以前にも書いたが、前後期77試合ずつの154試合。前期は4月初めから6月まで。後期は球宴を挟んで7月第2週から、10月まで。クソ暑い8月の2週間は、土、日開催にする。プレーオフ、日本シリーズが11月半ばまで。8月のナイターを奪われるのは経営の上で問題が大きい?

 たかだか8試合ほどではないか(主催ゲームは多くてもその半分だろう)。現在より10試合増えるのだから、ここで少し休養を取ればいいのである。本拠地でファンと触れ合うイベントを企画してもいい(もちろんナイターで)。中学生たちへの野球指導がいい。理想は、甲子園に行けなかった地元の高校生を指導することだ(このときだけは、特別許可でプロの現役の指導を可能にしてほしい!)。

 と書いてきて、「別に2シーズン制でなくても可能じゃないか」と言う人が必ずいることに気が付いた。そうなのである。しかし、ここはどうあっても2シーズン制でなくてはならない。高校野球にセンバツと夏の選手権の2つがあるなら、プロ野球にも2つのシーズンを作り、2度楽しんでもらいたいのである。ダラダラと144試合やるからクライマックスシリーズというグロテスクなものを考え出すハメになってしまったのではないか。ペナントレースの楽しみとCSの楽しみはまったく別ものである。

 しかし、2シーズン制の前期と後期の楽しみは同じものである。その上プレーオフがある。10試合増は選手の負担増になるのだが、選手会のトップの方々、これぐらいは我慢できるのでは?

 やってみる価値はあると思う。
岡江昇三郎のWEEKLY COLUMN

岡江昇三郎のWEEKLY COLUMN

プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

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