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今年のフレッシュメンの抱負はおとなしすぎる。
もっと自分を高く売ってみせてもいいのでは。
安樂君は、ちょっとよかった

 

堂々と“マー君超え”の抱負を述べた楽天1位の安樂はちょっと頼もしかった


 今年ドラフトされた新人選手たちの入団契約交渉はほぼ終わったが、彼らの記者会見でのコメントに「これは!」というものはなかった。もっとも、「これは!」と感じる感じ方は、人によって違うだろうから、あくまで筆者個人の印象、感想なのだが。

 その昔、大洋に入団したある内野手が、会見の席で「山下さん(大輔遊撃手)はセンスないですから。僕がポジションを獲ります」と宣言した時はビックリした。たしかにゴールデン・グラブ8回の名手も、この内野手が入団発表した年まで、まだ規定打席に達せず、失策数も多かった。それにしても、「センスないから」とは言いも言ったりである。

 このひと言に「何を!」と発奮したのか、山下は翌年、初めて規定打席に達し、初のゴールデン・グラブ受賞。ここから8年連続受賞となったのだから、「何を!」と発奮した結果だとすれば、この「センスないから」の貢献度(?)は抜群である。ちなみに、この問題発言の選手は1年目は3安打に終わった。ショートを守ったのは5試合のみ。

 ただ、筆者などは、この、言わば「根拠のない自信」の表明は、プロ志望者としては、必要な場合もあるのではないかと思うのである。この選手の3年後にヤクルトに入団したある左腕投手はヤクルトを希望した理由を聞かれて「巨人が嫌いだから。ヤクルトで巨人を倒したい」と言ってのけた。この発言にも驚いたが、「面白いヤツが現れた」と頼もしく感じたものである。

 大洋の内野手もヤクルトの投手も、内心は不安でいっぱいだったハズなのだ。しかし、記者たちの前に出てみると根拠のない自信をつい披瀝してみたくなった。この心理はよ〜く分かるのである。そうしないと、不安が消えてくれないのだ。自信を語ってしまえば、そのことに対して責任が生じる。それは、以後の自分を縛ることになるのだが、逆に言えば・・・

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岡江昇三郎のWEEKLY COLUMN

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プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

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