週刊ベースボールONLINE


錦織のおかげでATPテニスを楽しんでいるが「その程度?」の不満も
MLBにも同じ不満が。あのオリオールズの強さはどこへ?

 

 錦織圭の大活躍で、テレビのATPテニス中継をよく見るようになった。見ているうちに昔のテニス中継のことを思い出した。プロテニスツアーがまだ盛んにならないころは、日本人にはデビスカップ(デ杯)が「テニスのすべて」だった。筆者がテレビで見始めたのは、宮城-石黒コンビのころだ。加茂-宮城の時代は知らない。その後、石黒-渡辺康、渡辺功-神和住(坂井)となってゆく。このあとはプロテニスの時代になり、次第にデ杯への興味は薄れてゆく。そのプロテニスも、70年ごろ東京体育館でオーストラリアのレーバー、ローズウォール両選手の傍若無人ぶりに呆れて興味を失ったことは、書いた。

 それにしても、デ杯にあれほど興奮したのは、なぜだったのだろうか。日本は東洋ゾーンで戦い、ここを突破しないと、イギリスには行けないのだが、まずフィリピンが立ちはだかる。アンポンとかホセとかいう名を覚えているが、日本は勝ったり負けたりだったような気がする。ここで勝っても、次はインドが待ち受けている。クリシュナン、ラル、ムカージの3人を破るのは至難のワザだった。胸幅の恐ろしく広いクリシュナンがコートに立つと、全身がオーラに包まれており、日本の選手は、ひどく貧弱に見えたものだった。戦う前から勝負あり。それでも、筆者は、ワクワクしながら見たものだった。相手が強過ぎると、日本の弱さを嘆くよりも、世界レベルとは、すごいものだという感嘆の気持ちが強くせり出してくる。世界が見えそうだ、世界が見たい――。

 いま、まさに世界レベルのテニスが見られるワケだが、錦織が2メートル近い男たちを翻ろうするさまは、実に痛快なのだが、「なんだい、世界レベルもその程度かい」というヘソ曲がりな気持ちも湧いてくる。

 ここから野球の話になるのだが、メジャーに対しても、「なんだい、その程度かい」の気持ちが、このごろは湧いてくるのである。ダルビッシュ(レンジャーズ)、黒田(現広島)、岩隈(マリナーズ)、田中(ヤンキース)が投げると、必ず好投する。それが当たり前になっている。「これが、本当にメジャーなの?」となってしまう。その気持ちが決定的になったのは・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

岡江昇三郎のWEEKLY COLUMN

岡江昇三郎のWEEKLY COLUMN

プロ野球観戦歴44年のベースボールライター・岡江昇三郎の連載コラム。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング