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野村克也の本格野球論

野村克也が語る「山田哲人&背番号」

 

パイレーツのマネだった南海時代のユニフォーム


 ヤクルト山田哲人が史上初となる2年連続トリプルスリーを確実にした。

 右打ちで、あれだけ欠点のないバッターは非常に珍しい。しかも長打力があって、足も速い。「天は二物を与えず」と言うが、プロ野球の歴史も80年ともなれば1人や2人、「与えられた」選手も出てくるということだろう。

トリプルスリーを確定的にさせた山田。欠点のない右打者は珍しい/写真=大泉謙也


 もう一つ不思議なのは、山田が173センチの私より小さく見えることだ。山田の身長は180センチ。十分大きいはずなのに、大きく見えないのだ。強打者、一流選手は体が小さくても、大きく見えるもの。小柄な役者だって、舞台に出れば大きく見えるではないか。昔から、そうだった。山田の俊敏さゆえか、それとも時代が逆さまになったのか。

 山田を見ていて、ふとロベルト・クレメンテ(パイレーツ)を思い出した。1971年、私はパイレーツとオリオールズのワールド・シリーズを見に行った。そこでクレメンテを一目見て、たちまち彼のファンになってしまった。

 足は速い、肩は強い、そして長打力も兼ね備えたアベレージヒッター。当時、ヤンキースの『MM砲』と呼ばれたミッキー・マントル、ロジャー・マリスが日本では有名で、クレメンテの名は実力ほどには知られていなかった(すでに首位打者4回)。私はあのとき、「彼にだけは天が二物も三物も与えたのだな」と思ったものだが、やっと日本にもそういう選手が出てきたということだ・・・

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勝負と人間洞察に長けた名将・野村克也の連載コラム。独自の視点から球界への提言を語る。

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